献体の会に出席して

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献体の会の会合に出席しました(6月29日)。
私は東京医科歯科大学の献体に登録しており、コロナ禍の中止を終えて4年ぶりの報告会・総会に出席しました。4年前に出席したのが初参加で、そのときより参加者はやや少ない感じがします。広い講堂に100名以上200名以下の出席と思います。
献体は、医学・歯学の学習・研究のために、自分が亡くなった後の遺体を学生の実習のため解剖学教室の講義で使われるものです。

1時間余の会合でしたが、感想を2点。
質疑の時間には多くの質問があり、それには丁寧な答えがありました。そのなかにエンバーミングというのがありました。事故などで死亡したときの遺体の損傷が大きく、葬儀屋さんなどで遺体を補正するのがエンバーミング(遺体衛生保全と訳されます)です。この補修には薬剤が使われます。献体された遺体にも保存等のため薬剤が使われます。エンバーミングのときと献体保存のための薬剤が異なるために、エンバーミングのある遺体は、献体には受けとれないという回答でした。
遺体のなかで献体として受けとれないものには、事件や死因の解明のために司法解剖されたもの、臓器提供を行っているものがあります。検察庁の検診で解剖のないばあいは、献体になるそうです。
人体解剖は、江戸時代の訳書『解体新書』が知られ、記憶では山脇東洋等が日本で初めて人体解剖を行い(調べると1754年でした)、『解体新書』に先立って『蔵志』を著しています。それから270年が過ぎた現在、制度として整えられ医学、身体科学の理解につながっています。

これが、もう1つの感想につながります。東京医科歯科大学献体の会の会長は佐藤達夫さん(86歳)という方です。壇上に向かうとき足元がふらついて、司会者や周りの人が気遣っていました。たぶん高名な学者であろうと思いますが、気さくな感じであいさつなどをしていました。
献体の否定や反省を求める動きも出ている、解剖学教室が非難されることもある——これらはある報道がされ、献体された遺体の扱いにあってはならない不適切事案があったことを1つの根拠にしている——そういうことへの対応を佐藤さんは語りました。
遺体の収集や扱いには難しいばあいもあります。全部をパーフェクトにできているとは思わないが、できることとできないことは区別して、これからも進めていきたい。人体のことは人体を見ることによるのだから、そのための献体になる。
佐藤会長は献体の否定や遺体の扱いの問題を受けとめながら、頭から拒否するのではなく、訴えていました。会の運営は素人っぽく不手際もありましたがかえって好感をもてました。
献体の会の生存会員数は2322名、今年10月には東京工業大学と統合して東京科学大学になるので、名称は「東京科学大学献体の会」に変わります。

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