島根県の丸山達也知事が、少子化対策と移住政策を語っているのを見ました。2024年5~6月のネット上のABEMA Primeです。
この2つのテーマのうち少子化対策は全国的課題ですが、移住政策は特に人口減の著しい地域の課題(島根県も含む)で、しかも連動しています。
移住政策は、人口減がすすみ、地域の衰退が危惧される地域ではあの手この手の施策が市町村や県単位で執られています。6月に入って地方創成会議(増田寛也会長)が、2040年には全国700以上の市町村が消滅の危機にあると発表し注目されました。島根県は2016年発表で全19市町村のうち消滅可能性自治体は16市町村あるとされていました。今回は16市町村のうち12市町村が消滅可能性から脱却し4自治体が消滅可能性になると報告されています。島根県は少子化対策で前進をしていることになります(県全体の人口減少は続いています)。
丸山知事によると医療費の自治体支援が中学から高校生までに広がり(医療費無料の自治体も増加)、学校給食費の無料化が進んでいます。島根県全体の「少子化対策」とは、①結婚・出産に関しては縁結びボランティア(出雲大社にちなんだ取り組み)、コンピュータマッチング、不妊治療助成、産前産後ケアがあります。②子育ては子育て応援パスポート、子どもの医療費助成、保育料軽減、放課後学童クラブ支援などを挙げています。
不登校情報センターのサイトで紹介している「山村留学類」には、県外からの高校留学を導入する「しまね留学」も紹介しています。私の出身校である県立大田高校も、同じ市内で姉兄が進学した県立邇摩(にま)高校もこの「しまね留学実施校」になっています。また隠岐島では漁業就業支援も行われています。
島根県の女性出生率は1.62(全国4位、全国平均1.20、東京は0.99)といいます。それでも「2.0」以下で人口減は進行中であり、「持ちこたえている部類」に入るわけです。
一方、全国の少子化対策です。報道によると異次元の少子化対策として来年度は3兆円半ばという予算規模を首相が指示したそうです。内訳は社会保障費等の予算を2兆円削減し、他に1兆円規模の財源を保険料に加えて(税金として)徴収するとされています。
丸山知事は、この子育て支援1人当たり500円を「人頭税みたいな大衆課税」であり、消費税とともに逆進性の高い不平等税制であると強く批判しています。1人500円均一という平等にみえるけれども「負担能力を見極めてはいない」不平等税制です。
そして昨年度大企業は純益で(いろんな支払いを済ませて残った利益)が41兆円あり、「そのうち1兆円を負担してもらうことがそんなに無理なことなのか」と提起しました。わかりやすい提案です。
丸山知事は、大企業の人にあうとほとんどが「SDGsのバッチをつけている。少子化対策で子どもが増えることは、日本社会のサスティナビリティ(持続可能性)をつくること、SDGsそのものであると訴えていました。
政府の「異次元の少子化対策案」は……詳しく述べる気がしないほどですが、「第3子以降は児童手当てを月額3万円に倍増する」といった具合で、ABEMA Primeの出席者が「これで子どもをもつこと気になるのか?」と嘆いています。
追加しておきますが、社会福祉費などを削減して、子育て支援費を捻出する(?)というのも、大いに疑わしい限りです。
一般に、女性の社会進出(就業率の増大)、高学歴化(進学率の向上)などにより出生率は下がる傾向があります。出席したパックン(パトリック・ハーラン)さんによると、「先進国で出生率を向上させるのに成功した国はない」といいます。子どもを持つことで、国に納めた税金を自分が取り戻せるいろんな施策があって、子どもを持つことがよい状態になれば…という考え方を示しました。現実の事態はそれとは反対方向に進行しています。
(註:年月、数値は聞きまちがえがあるかもしれません)