(6)KHJ提唱のひきこもり基本法

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KHJ全国ひきこもり家族会連合会の提唱する「ひきこもり基本法」はこれから法制化を求める1つの動きです。KHJとしての原案(?)を考えているようですが、発表できるまでには至っていません。
池上正樹さん(副理事長)が東京新聞10月1日付「ひきこもり基本法の制定急げ」に、高和正純さん(理事.NPO法人はぁとぴあ21理事長)が(KHJジャーナル「たびだち」106号)に「教育機会確保法とひきこもりに関する法整備」として論点を挙げています。
経済社会面からの問題意識では、ひきこもりは「8050問題」など切迫感が強まる状態の人が増え、「問題の背景にあるのは、社会全体が余裕をなくし、職場でもパワハラ、セクハラなど人権を侵害する行為」が続いている(池上)——社会でのひきこもり発生の要因はつづいており、ひきこもりから社会参加の環境条件は緩和されていないことです。
また子ども・若者支援、生活困窮者支援、孤独・孤立対策という周辺の法体制はあっても「ひきこもり状態にある人やその家族を直接に対象とするものではない」(高和)——法制度により、不登校が「問題行動」扱いされないように、「ひきこもり=悪」という偏見から解放される役割も期待できます(高和)。

不登校情報センターのサイトに「生活困窮者自立支援法窓口」のページ群があります。生活困窮者自立支援法により2016年から全自治体に設置されています。この法律は初めてひきこもりの言葉が入った法律と聞いています。サイト制作のために対応を調べている途中ですが、結論として自治体も国もひきこもりへの対応は低調です。
例えば愛知県ある市の広報紙2023年4月号は簡潔にこの窓口を紹介しています。
「生活の困りごとを一緒に解決しませんか
経済的な問題で生活に困っている、働くことに不安、家計のやりくりが難しいなど、生活に困窮し不安を抱えている人を対象に、専門の支援員が相談にのります。どのような支援が必要か一緒に考え、支援計画を作成し、寄り添いながら自立に向けた支援を行います。個別の相談室となっていますので、お気軽にご相談ください。ご家族からの相談もお受けします。
日時:月~金曜日(祝日(振替休日を含む)、年末年始は除く)、午前8時30分~正午、午後1時~5時15分
場所:市役所2階生活自立支援相談室
支援内容:自立相談支援(就労支援、住居確保給付金)、家計改善支援、緊急食料支援など
問合せ:生活自立支援相談室(福祉課社会福祉グループ内)【電話】~」
広報紙のこの説明の仕方は平均レベルであり、簡潔に要点を紹介しています。多くの自治体のホームページも同じですが、そこがひきこもりにも対応しているとは分かりづらいでしょう。これらの広報やホームページの説明により一般市民が生活自立支援相談室をひきこもり相談の窓口と受け取るのは難しいです。
コロナ禍において特別給付金を支給する役割をしたことは認められますが、ひきこもりに対しては一部の自治体に限られます。池上さんは「国のひきこもり支援推進事業に着手しているのは全国1741自治体のうち、約1割に過ぎない」と指摘しています。
こういう状態を見れば、また問題の広がりや深さから考えて早急に「ひきこもり基本法」を制定するというKHJの動きは当然であり、私はこれに賛同します。広範な人の賛同により、法制度が早期に実現するのを期待します。

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