小学生になるまでの子ども時代をよく思い出します。周りのことをほとんど気にせず思うままにふるまっていたいろいろなことです。友達をたたいたり、たたかれたりしたことも生きいきとしていて、今になっても実感がよみがえることがあります。
いつのころからか、そういう行動が途切れました。記憶にぼんやりと出てくる小学生高学年あたりからの記憶は変わっています。記憶が薄れています。いつも人の影に隠れ、家でもひっそりとしていたのです。
授業中もぼんやりとしていたのでしょうか。ふと気づくと私の周りには誰もいません。親からは罵声と無視が続いていたことがときどき、でも強烈によみがえることがあります。
しばらく前からひきこもり経験者の集まる居場所に来て少し顔見知りになった人がいます。その人に誘われて勉強会に参加しました。人間関係づくりがテーマでした。人のよさを認めるとか、あいさつは大事とか、本当に初歩的なことを話しています。
初めのうちは子どもっぽい、ばかげていると思っていたのですが、私の方を向いて「あなたはできていますか?」と笑顔で問われてウっと声が詰まりました。そんなことは気にしたことはなかったのですが、そんな初歩的なことさえ自分にはできないからです。自分はそういうことをしていない、できる気がしないのです。
なぜそうなったのか? 思い出すことの多い子ども時代につづくのは、自分がどこにいるのかつかめないまま霧の中の生活をしていたのです。周りからの罵声をさけようとしていたはずなのに、いつの間にか人の声から離れて生活するようになってきたのです。それがわかりました。