大人の引きこもりを考える教室の場で、引きこもりから抜け出す方法として手紙作戦を紹介しました。さしあたり該当者は現われませんでしたが、有効な方法と思います。
いずれもすでにサイト内に設定・記載していることですが、それをまとめてみるとこうなります。
(1)親を通して日記・手紙などで意見交流をすすめる
〔質問〕家から出られなかった引きこもりの子が外出できるようになった実例を教えてください。
〔お答え=木村茂司〕親、ほとんどが母親ですが、続けて相談に来てもらいます。相談をし、いろんな話をします。
本人の性格、行動、生育と親や兄弟との関係、家庭環境、学校についてなど。
この中で、親がよく把握していない場合もあります。わが子について、詳しく伝えられない場合もあります。
その時は、日記を書いてもらったり、いろいろとレポートのようにまとめてもらったりもします。これは、改めて親がわが子に向き合う1つの形でもあります。
こうした中で、ある時期に、私から本人に手紙を書いたり、マンガの本を貸したり、知恵の輪をもっていってもらったりします。
手紙の内容は、慎重に考えます。本人が見てくれないと何にもなりませんので、本人が興味や関心のあることを書きます。少しずつ少しずつ気をつかって書きます。それに対して母親に感謝や質問をしてくるようになれば成功です。
本人から返事の手紙が来ることもあります。
本人が読んでくれそうなマンガをもっていってもらったりもします。クレヨンしんちゃんであったり、ブラックジャックであったりいろいろです。読んでくれたり、注目が出てきたら成功です。
そうしている内に、中・高校生であれば勉強の問題を出します。その先には、進路について話します。そうしていると、マンガ本を選ぶためとか、いろいろのきっかけで私の所に来たりするようになります。
はじめに外出ねらいでなく、安心、信頼がもてるように母親を介して接触します。安心、信頼できる人を母親がみつけてきてくれた、となると本人と母親の間にも安心、信頼ができます。母親と私との間で、安心、信頼ができないと何も進みません。
こうした具体的な取り組みをすれば、だいたい何とかなります。中学生でも、高校生でも、大学生でも、だいたいこうした取り組みで進みはじめます。
(2)〔メール相談受付〕事情をメールで詳しく書いて送ってください。手紙に書いていただいてもいいです。回答は有料で1件1000円(切手代金を含む)。
http://www.futoko.info/postmail/postmail.html
回答者は次の3名です。
(2-1)二条淳也
「高齢ひきこもり」というブログを運営しています二条淳也です。
私自身、十年近くひきこもっていましたが、最近、動き始め、徐々に働き始めています。
ひきこもっているあいだ、私は「死ぬまで働かない」と親に断言していました。
遺書めいた手紙を親に送ったりしていました。ところがいま、私は少しだけ働いています。
年齢に関係なく、ひきこもりの方たちには「動き出す可能性」があると思っています。親子関係や労働現場での出来事など、自分の体験に基づいて相談に対応するつもりです。
私のブログをご覧になり、「意見を聞くに価する」と思われましたら、ご相談下さい。誠実にお返事します。
(2-2)島田邦子
(1972年9月19日生まれ富山県出身)
幼少の頃より姉妹の中でも感受性がつよく、小学校ではいじめを経験(拒食症になる)、大学に入学以降、本人でもわからない症状(対人恐怖、過食&拒食症、リストカットなど)で引きこもりと社会復帰への挑戦を繰り返す。
仕事を常に探して社会復帰がテーマの人生を送る中、専門学校にも行って手に職をつけるが、その後7年間のうつ病を患い、点滴と通院、カウンセリングの日々を送る。
闘病のために増え続ける薬の副作用から、ついには心身がもたなくなり、医師には止められながらも自らの力で薬を一切止める。
その後は、自分で自身を治すためにカラーセラピーを始め、メイクアップの勉強、資格をとり、自宅サロン(自由が丘) で心身をご自身の力で元気にさせていく「パシュパラ」の開業現在に至る。
(2-3)松田武己
相談を受けた件数は数百件か千件を超えるでしょう。しかし、相談の受け答えをするだけでは求められる解決・改善には届いたかどうかは確認できません。
居場所づくり、自宅訪問を実行しているのは相談の枠を超えたことが必要と考えたからです。
手紙相談では子どもが実際に何かの動きに移せるのを確認する機会は限られるので、できれば数か月から1年後の様子を知らせてください。訪問になる、居場所に出かけられる、親が親の会に参加するのも一つの前進です。