引きこもりへの対応・支援者の集まる会合に行くと、利用者さんという言葉をときたま聞きます。相談機関・受入施設・支援団体には相談員、スタッフ、支援者がいて、引きこもりの当事者やその家族が相談や利用にきます。その様子を話すために生まれた言葉が、利用者さんです。
ですが私にはそれ以上のニュアンスを感じてしまうのです。それは利用者さんと支援者の間には橋がかかっていないのです。断絶した溝が設けられています。数日前の東京都の引きこもり支援の事業においては、当事者スタッフは認められていないと公式に説明を受けました。
別の会合ではそこまで明瞭な説明はありません。しかし、暗黙の隔絶が前提に話されている、そのニュアンスを感じてしまうのです。
引きこもり経験者にとって、適合性の高い職業に私はカウンセラー、身体療法師、訪問サポートなどの対個人サービス業があると思います。むろん全員にその該当者というのではありません。心身の微妙な状態をことば以外の表情・表現から理解する当事者は少なからずいます。理論学習から引きこもりの心理を理解しようとしてきた人が及ばないところです。
私は利用者が支援者になる道があると認めて支援を展開しようとしています。利用者と支援者を隔絶していくやり方は、利用者の進む道をふさぎながら前に進もうとする方法に見えるのです。
むかし「私つくる人、あなた食べる人」というコマーシャルがありました。つくる人が食べる人であっていいのです。つくりながら食べる、食べながらつくる人でいいじゃないですか。同様に利用者の進む道には支援者になる道があっていいのです。全員が支援者になるとは思いませんが、その道を閉ざさないでおきたいものです。不登校情報センターというか私の取り組みの一面はそれに関係するように思います。