不登校情報センターを収入の得られる場にする取り組みを考えましょう。
3つの面があります。共通する面と個人的に動く面、そして継続の条件です。
(1)集団的な自立のスペース
共通する面は活動の拠点としてフリースペースに作業を持ち込んだことです。いくつかの経過をたどり「パソコンを生産財にする」という目標に象徴されるパソコンの利用、とりわけサイト制作が中心になりました。複数人数が共同で大きなサイト制作に取りかかっています。このサイト制作は私が仕事にしていた情報提供の延長であり、また発展です。よしあしは別に私が仕事にしていたから始められたと思います。それがなければ全く違ったものになったかもしれません。
スペースに集まる当事者たちもパソコンをよく使いました。パソコン利用に進んできたのは自然でしたし、また時代の流れに沿うものでした。
サイト制作のテーマである学校と支援団体の情報提供は、初めから大きなサイトになると想定できました。集団的に取り組むしかないし、それは役割分担にも有効です。集団的な自立の視点はここから生まれました。
この面の現実の収入の到達点は小遣いの範囲を超えるものではありません。これを数倍のレベルに到達させることで安定的な小遣いのレベルになります。今年はどこまでできるのかが問われます。いまサイト制作の充実によりこれに事務作業を加えるレベルになりました。この点はもう一度あとで書きましょう。
(2)引きこもり経験者の社会参加支援
もう一つの点は、このスペースを基盤に各人が持ち味を生かして独自のテーマに取り組む方法です。何らかの非正規のパート的なことをしながら、関心のあることで生活基盤をつくるために動いています。
これを「引きこもり経験者の社会参加支援」としてまとめてみました。
①親の会や保健所などへの体験発表の出前サービス。
②メイク教室・編み物教室・DJ講座の場所提供。
③個人ブログの運営とアドセンスの設定。
④当事者・体験者として相談・手紙相談の方法を応援。
他にもありますがまだ形にはなっていません。その動きと不登校情報センターのサイト制作および活動には相互の影響があると感じられます。このうち④の当事者・体験者の相談方法は、サイト全体の双方向化の端緒になりうると予想しています。この先に文通を含めて引きこもり等の当事者が答える相談コーナーが成立していくのではないでしょうか。
それと並んで引きこもり経験者に適合する職分野に対個人サービスが浮上してきました。他の支援団体からそういう声はまだ聞いていません。仮説的なレベルでしょう。
これが生まれたのは当事者がしようとすることを受け入れるスタンスによります。気づいたのは一昨年あたりですから活動歴からいえば遅いと思います。振り返ると兆候は前からあったのですが、それまでは言葉にできるほど色濃くは現れていなかったのです。
この対個人サービスをどう応援していくのかはこれからの課題です。私がかかわる限り、ネットや出版的なことに傾きがちになるのは避けられません。そこを補充する本人からの提起やほかの応援が欲しいところです。
同じことは創作活動に対してもいえます。こちらも当事者の関心が強い分野ですが、不登校情報センターの取り組みとしては停滞しています。さいわい想造展という1つの形式ができました。消滅はしないでしょうが、発展となるとそれだけでは不十分です。ここにもとりわけ当事者の動きが要ります。
これら各人の取り組みの動き、対個人サービス業、創作活動などの共通基盤、いわばベースキャンプが不登校情報センターになります。事務所として場所提供、印刷機・コピー機・FAX・パソコンの利用などの便宜提供、企画や広報の手伝いです。
これらは収入につながる面では小遣いに足らないレベルですが、自分で始めていることが貴重です。
(3)事務作業の3つの役割
サイト制作のレベルがある程度の収入を生み出す状態になりました。事務作業として取り組む課題が現実的になりました。
事務作業の第1の役割はそれを収入にする取り組みです。サイト制作が進み充実したといっても自動的に収入がえられるわけではありません。サイト内の情報の充実、情報の更新、情報の新規収集を合わせて行うこと、これが事務作業です。何をするのかは先日つぎのように書きました。
(a)リンクの継続依頼と紹介情報の更新+α
(b)紹介情報の更新とリンク依頼+α
(c)新規の紹介情報の依頼とリンク依頼+α
(d)更新・リンクのサイト掲載情報を記録台帳と照合する。
*「+α」には、①イベント情報の提供、②支援者プロフィール、③学校案内書・相談室案内書の紹介と委託配布、④質問Q&A、⑤広告掲載の依頼と更新などが含まれます。
この情報収集が第2の面です。それはそのままサイトを継続していく体制づくりになります。情報提供とは集まった情報をネット上に載せることではありません。まずは情報を集めなくてはなりません。情報を集めるのは事務的な作業になります。情報を集めることの本当の中核は企画です。何をどうするのかという構想と判断が求められます。
この情報収集の企画は事務作業のレベルでは到達しません。しかし、理論的なことから始めるよりは事務作業から進むのが自然にできるでしょう。事務作業から始め、そこから情報の性格を知り内容判断できるようになるのがいいのです。
最後の付け加えるならば、情報収集は不登校情報センター自体を存続させることにつながります。情報収集と情報提供がない不登校情報センターもありうるかもしれませんが、それは名称と一致しない情報センターです。当事者による事務体制をつくるのはこれからのことです。