次の目標は信頼性を得ること

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 次の目標は信頼性を得ること
Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]
[`yahoo` not found]
[`livedoor` not found]
[`friendfeed` not found]

高年齢引きこもりへの対応(その5)  さてこのシリーズの次のテーマに移ります。当事者と訪問者が会えるようになったときの状態、関わり方、話すこと、作業をすることなどのテーマです。これは当事者の興味・関心が大きく作用します。家族はここを可能な範囲で子どもの様子を注意し観察していてほしいものです。それが訪問して何をするのかの決め手になることがあります。
誤解が生じるのはここです。引きこもっている当事者をすぐに外に連れ出すと期待することです。そういうこともありましたが、それはレアケースです。初めからそれをめざす訪問サポートは、その1回で事実上終了になりかねません。そればかりではなく、次に何かを始めるのがいっそう困難になります。本人は意に沿わないことをされたという印象が残るからです。

私の訪問活動では、当事者の外出につながったものばかりではありませんが、そういう強引なやり方はできません。そういう当事者の意思や感情を無視したやり方は、いい結果をもたらさないと思うからです。しかし、どのような方法、当事者とあって何をするのかは、簡単なことではありません。研究の余地のある難しいテーマであることは理解しておかなくてはなりません。
この難問のテーマでとにかくはっきりしていることがあります。それは当事者から信頼を得ることです。信頼関係は種類または程度があります。それをどう確認できるのかも大事です。
①この訪問者は自分の意に反したことはしない。
②この訪問者は自分のおかれた状態や、性格や好みを理解しようとしている。
③この訪問者は、自分のようなタイプに対してどういう方法が最もいいのかを提示しようとしている。
たぶんこの3つの要素が組み合わさった姿勢になると思います。
私はもちろん初めからこういうことがわかっていたわけではありません。この視点が最終的に到達した必要要素と考えているわけでもありません。むしろ自然体というか、出たこと勝負の気持ちで訪問を重ねることがいまでも多いのです。
こちらが何かのテーマを持って与えようとするのではなく、当事者が表に出してきた気持ちやことばを感度よく受けとめ、引き出そうとするとそうなります。そうする気持ちの奥にあるものを引き出して言えば、このような3つぐらいのものになるのです。
これを私の教育的な方法と考えています。自分から否定的なものが少なくなってきたときに意欲とエネルギーが浮上します。そういう引き出そうとする方法、これが教育的な方法です。教育というのは「教」すなわち教えること、そして「育」すなわち育てることです。教育は「育」が難しく、また肝要なのです。教えることは一夜漬けでもできますが(失礼! 言いすぎです)、育てることは自分の全体を向けても届かないことが多いのです。全力で向かうと巧拙にかかわらず伝わるものがあると思えます。信頼関係をつくろうとする時期には、これが似合いのスタンスです。

*訪問活動についてはこれまでもいろいろな機会に書いてきました。比較的まとまったものは2008年夏から年末にかけて書いたものがあります。「引きこもり生活者への訪問活動」(その1)(その2)(その3)(その4)です。参照し今回と比較してみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください