第1回の「大人の引きこもりを考える教室」を終えました。
親の会の雰囲気は残りますが、はじめに要綱によるレクチャーを取り入れました。
今回の報告は“教室”内容からから離れて「気質」を考えてみました。
引きこもりになるのは本人の先天的な気質と、生まれたあとの環境の合算の一つの結果です。
その点をいろいろとやり取りをしました。
そのなかで「気質は変えられないもの、変わらないもの」という点を考えてみます。
宮城音弥『心理学入門・第2版』(岩波新書、1965年)は次のように書いています。
「性格のうち、のちになってつくられたものほど変化しやすく、生まれつきのものほど変わらない。生まれつきの性格は体質に関係があって、感情生活の土台をなしている。これを気質という。気質は神経系統のほか、内分泌や新陳代謝などの性質にもとづいている」(25ページ)。気質とは体質の精神面の表われなのです。
話の場ではこの本からの引用はしなかったのですが、気質は基本的には変わらず、後天的な生育環境が引きこもりに結びつく話しをしました。
このなかで気質は変わるのかが問われたのです。
多少の変化はします。宮城先生はそれを体の要素である「神経系統のほか、内分泌や新陳代謝などの性質」と体に即して説明します。大きくは変化しないものです。
私は学習や体験も関係すると思ったのですが、これは後天的な要素ですから違います、ブレています。
気質に統一した分け方があるかどうかは知りません。たとえば職人気質(かたぎ)というものもあります。
比較的知られているのはエルンスト・クレッチマーの説です。クレッチマーは気質を3つのタイプに分けて説明します(ウィキペデイアから引用)。
「循環型気質:社交的なときと静かなときが交互に出る。分裂型気質:非社交的、気づかないところと気づくところ両方が出る。粘着型気質:几帳面、やることは凝る。」
引きこもりになりやすいのはこのうちの「粘着型気質」ということになりそうですが、必ずしも限定はできないはずです。“引きこもり気質”といっても国語的には間違いとはいえないかもしれません。
宮城先生はクレッチマー説を参考にしながら気質を、躁鬱質、分裂質、テンカン質に分類しています(『性格』岩波新書、1960年)。
いずれにしてもそれは先天的な、特に体質と結びついたもので、基本的には変えるに変えようのないものです。人間の意志では左右できないものとするのがよさそうです。
ところが気質を変えるために食べ物を変え、体質を変えようとする人がいるかもしれません。たとえばアレルギー体質の人が体質変化をめざして食事を変える(食事療法)のを全否定することはないのです。体質の変化によるわけですから体質が変化をすれば、変えないとしても変わってしまうことになります。
R・シュタイナーの説は「4つの気質」すなわち胆汁質・多血質・粘液質・憂鬱質に分類します。シュタイナーは体の組成が変化するに従い気質も変化する点を強調しています。
本日の「教室」ではこういう話の終始したのではありません。話のある局面で出されたことを私が広げて復習を試みたものです。私にもいい学習機会になりました。
次回は6月10日(第2日曜日)です。テーマは、友達を含む「人間関係」を予定しています。
参加者を募集します。当事者、親・家族、支援者を参加対象としています。