保健所の引きこもり対応状況を63か所から回答していただいています。うち2件はホームページへの接続の案内、2件が政令指定都市の精神保健福祉センターからの回答です。59件が保健所からの回答であり、いろいろなことが確かめられました。すでに広く知られていることでも私には発見であったものは少なくはありません。
(1)一般的なことですが、保健所は良くも悪くも公共機関らしさがあります。法令で決められたことは体制をつくり取り組んでいます。それがどのレベルになるのかはこれまでの取り組みの蓄積、それぞれの担当者の努力、そして自治体の財政力などに左右されるのでしょう。そういうなかで公共機関としての対応を維持しています。これは貴重なことです。
引きこもりに関してはNPOをはじめ民間で積極的な試みをしていますが、全国にある保健所の日常活動で維持しているベースに展開されている点は忘れないでおきたいものです。
そして保健所の現状はこれまでの政治と行政と社会の結果であると総括的にいうことができるはずです。
(2)いくつかの発見のその1は政令指定都市(以下、政令市とします)の問題です。全国20の政令市(4月から政令市になる熊本市を含む)所在の保健所からの回答はいまのところありません。おそらく引きこもり対応が精神保健福祉センターの分掌になっているのでしょう。
大阪市と熊本市からはその精神保健福祉センターから回答をいただきました(感謝します!)。熊本市の精神保健福祉センターから連絡があり、保健所から用紙が回ってきたけれども回答してもいいのかという問い合わせでした。政令市の保健所からの回答がないことと大阪・熊本2件の例が政令市の場合は精神保健福祉センターが引きこもりを分掌するという私の推測の根拠です。
(3)このことはまた保健所にお願いした情報提供用紙が基本的には精神保健福祉センターにも通用する可能性を教えてくれました。政令市は上記の推測によりますが、それ以外の都道府県等の精神保健福祉センターはどうなのかを知る課題がやや見えてきました。
(4)政令市ではない東京都の場合はもう少し回答例を見なくてはなりません。
北区からの回答では保健所は引きこもり対応から外れています。世田谷区の場合は逆により広い対象者への対応を保健所がすることになっています。これと精神保健福祉センターがどのような役割分担をしているか・していないかが注目点です。
(5)保健所と精神保健福祉センターが共同で学習会を開いているところ(島根県益田保健所)。引きこもりの経験者が相談に対応しているところ(徳島県三好保健所)。相談・カウンセリングの対応に臨床心理士がいるところもあります。このような特別な例は法令によるものではなく、その保健所の対応の発展を示すものです。一区切りしたところでまとめたいと思います。