「障がい者雇用促進」をすすめている株式会社D&Iの人が尋ねてこられました。
不登校情報センターとして引きこもりの自立にどんなことをしているのかという質問から始まりました。その質問にはそれなりにお答えしたのですが、別れた後で少し違う点を考えてしまいました。
主に話したのは、対人関係づくりが中心になる人が多くいることです。家族とは話ができるし、外出もしている。しかし、仕事に就くように動くのは抵抗感が強い。そういう人との接点ができれば引きこもり支援も、現状よりはかなり前進します。
しかし、支援団体の多くはそこを超えてやってくる引きこもりを待っている。そうするとなかなか支援対象者は増えません。仮に多く来るようになったとしても、それは最初の課題を何らかの方法で乗り越えてきた人であり、支援団体の役割はその部分には関与せず、それを引き継いだ場面の人たちに関与しています。
引きこもりの中心が対人関係づくりであり、その後の就業支援は引きこもり支援とはいえ(少なくとも引きこもりの最大多数がいる)最重要な局面を外れたところの支援をしていることになります。
支援団体として、その分野に踏み出すのは意外と大変です。“費用対効果”という視点からはいい成績が上げられないと思います。事業としては収支赤字に近づくということです。特に20代後半以上の引きこもり支援はそうなりやすいでしょう。そうするとその人たちへの支援は空白になります。現状はそういう事態が続いてきた結果です。
その空白の付けは、近い将来に否応なく表面化するでしょう。たとえば長期の引きこもりからの生活保護の増大や自死者が多数出ることです。これは社会として正常な存続とはいえない事態です。
だからそこに取り組んで欲しいのですが、果たしてどこまでできるのか。期待をせずに応援しようという気分です。人に難題を押し付けるのは好むところではありません。ただ誰かがやらなくてはならないし、やる人が多く現われることを期待するのも確かです。
D&Iの人からは障害者雇用に関していくつかの事情を教えていただきました。なかなか眠れない、朝起きるのが大変という人を早朝の短時間就労で雇用をしている会社があるそうです。ベストかどうかは個人差があり一律には判断できませんが、一つのやり方と思いました。
従業員の1.8%を障害者枠にする法律については、「法の縛りがあるから雇用するというのではなく、もっと積極的な気持ちで雇用して欲しい」という、熱い気持ちを語られました。気持ちはわかりますがこの枠を外すわけにはいきません。それでは障害者雇用は現在の水準さえ崩壊させてしまいます。そういう意見交換もできました。