不登校情報センター > スクール(学校)解説

不登校・中退生に対処する学校・教育機関の解説

★ スクール(学校)解説 ★

次の項目をクリックすると、このページの下に飛びます。
●学校と義務教育
●小学校・中学校とその他の中学校教育
●適応指導教室
●山村留学
●養護学校
●児童福祉施設
●全日制高校
●定時制高校
●通信制高校
●通信制サポート校とサテライト教室
●学習センター・協力校
●高等専修学校
●技能連携校
●フリースクールと学習塾
●高卒認定資格(旧大検)と高卒認定予備校
●在外教育施設
●留学と外国の高校の日本校
●家庭教師
●通信制大学・特修生制度・放送大学

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●学校と義務教育   ↑このページの先頭へ

 学校は、教科学習だけでなく、友達を通して人間を知り、社会体験をする場です。長期間にわたり学校に行けなくなった子どもたちは、学校での学習の機会がなくなるだけでなく、友達関係の場や社会を学ぶ機会もなくしていくことになりかねません。 長期欠席の子どもが増大していく中で、学校(公式の仕組み)に代わる、さまざまな教育機関、対応機関がつくられてきました。最近注目されるサポート校もその一つです。教科学習や友達や社会体験を含めて、これらの教育機関にはどのようなものがあるかを要約してみました。
 不登校や高校中退者の受入れ状況、法制上どうなっているかにも触れてみました。
 学校教育法第一条による「学校」は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校(高校)、大学、養護学校、聾学校、盲学校です。これらが日本の中心的な教育機関といえるでしょう。法制化されている教育機関には、専修学校、各種学校、技能教育施設、在外教育施設、文部科学省以外の諸官庁設置学校、および職業訓練施設があります。このほかに法制化されていない認可外の教育機関が多数あります。
 このうち、小学校と中学校は義務教育機関です。すべての日本の子どもは、小学校・中学校の教育を受ける権利があり、子どもの親(その代理人)、国と自治体は、子どもが小学校・中学校教育を受けられるように環境条件をつくる義務があります。これが義務教育です。
 高校は法制上の義務教育機関ではありません。しかし、高校進学率が95%を超え、事実上義務教育に近づいているという意味で、準義務教育といわれることがあります。
 義務教育である小学校、中学校に子どもが行かれない(不登校の)場合、それらに代わる教育機関・対応機関にはどんな場があるでしょうか。不登校の子どもが実際に利用している教育機関の主なものは次のとおりです。
 フリースクールおよび学習塾養護学校山村留学適応指導教室です。小学校、中学校の保健室登校もこれに準じるものでしょう。ごく少数ですが自宅学習(ホームエデュケーション)や中検(中学校卒業程度認定)、夜間中学校を利用している人もいます。

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●小学校・中学校とその他の中学校教育   ↑このページの先頭へ

 小学校・中学校は義務教育ですから、日本国民(の子ども)は全て居住する地域の小学校、中学校に進学することができます。特別の理由がない限り小学校・中学校側は入学を拒否することはできません。
 そのことと子どもが通学できるかどうかは別のことです。小学校・中学校で、不登校傾向の子どもを特に受け入れようというのは、まだきわめて珍しいことになります。
 不登校・中退者のためにつくられた高校が、その延長で小学部・中学部を設置しているところ、民間の山村留学的な形になる小学校・中学校がこれに分類できる小学校・中学校です。
 東京都八王子市立の高尾山学園中学校、特区制による私立葛飾シューレ中学校(東京都葛飾区)は、不登校生を受入れることを掲げた中学校です。

■中検
 「就学義務猶予免除者の中学校卒業程度認定」が中検です。病気や家庭の事情などで中学校を卒業できなかった人に対して、中学校卒業生と同等の学力の有無を調べ、合格者は高校入学受験資格が得られます。中学校卒業資格とは違います。この試験は都道府県教育委員会が実施します。
 これまで、登校拒否によるものが就学義務の猶予・免除の事由になるかどうかは、ケースバイケースとされました。しかし、中学校にかわる子どもの進路のバイパスコースとして中検を活用する方向が検討されています。現在は、不登校であるために中学校を卒業できない例はほとんどありません。それは必ずしもよいことばかりではありません。形の上で中学校を卒業していても、学習内容がともなっていない人は、それを補充する機会を必要としています。

■夜間中学校(公立)
 さまざまな理由で、中学校で学べなかった、卒業できなかった人に、義務教育を保障するためにつくられたのが、夜間中学校です。
 生徒は、戦争や家庭の事情で学校へ行けなかった中高齢者、外国人(在日朝鮮・韓国人など)ですが、昼間の中学校で登校拒否をしていた生徒が、入学するようになった夜間中学校があります。
 一般に夜間中学校は、元不登校の子どもに特別の対応をしているわけではありません。生徒の数が比較的少なく、1人ひとりの精神状態や体力、学力に対応できること、多様な生徒がいて自由な雰囲気があることなどが、これらの生徒が登校できる一面の理由であると考えられます。
 入学の資格は、義務教育を終えていない15歳以上の人です。中学校卒業生は入学できません。ところが実際には、中学校を不登校のまま卒業し、夜間中学校へ入学を希望する人もいて、制度上の問題点となっています。
 授業料は無料。給食費、教材費が必要なところ、逆に行政側から就学援助を受けられるところなど地域差があります。

■自主夜間中学校
 公立夜間中学校の数がきわめて少ない状態で、有志による私設の夜間中学校が、自主夜間中学校です。そのほとんどが教育行政に対して公立夜間中学校を設立することを目標にした運動をしています。学習塾の一種と考えられることもあります。

■通信制中学校
 東京都と大阪府に、それぞれ公立の通信制中学校があります。

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●適応指導教室  :教育委員会が設立するフリースクール   ↑このページの先頭へ

 教育委員会が設立している官制のフリースクールともいえる教育機関が適応指導教室です。相談学級ともいいます。一部の教室は相談活動だけをしています。
 大多数の教室は、教室や運動できるスペースがあり、子どもたちがいろいろな取り組みをしています。不登校の子どもを対象とした対応機関であり、子どもは小学校・中学校に学籍を置いたまま、適応指導教室に通います。学籍のある小学校・中学校へ戻ることが建前になっていますが、それは子どもの状態により、多くの子どもは学校へ復帰しないまま卒業を迎えます。
 教科学習は、子どもの自習時間を主に午前中に設け、教師は質問に答える形でつき合うところが多いようです。一斉授業の形のところも少しですがあります。その場合でも子ども数が少ないので、個別指導ができます。
 運動、ゲーム、社会見学など子ども同士が関わる取り組みが重視されます。教室へ通うことは、学校への出席扱いとなり、毎日通室する子どもは「不登校」扱いにはなっていません。
 中学校卒業後も引きつづき通ってくる子どもを受入れたり、高校年齢で高校へ進学しなかったり、高校を不登校している生徒を受入れる適応指導教室もわずかですがあります。

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●山村留学  :状況によっては、不登校の子を受け入れる   ↑このページの先頭へ

 農山村、漁村地域の自治体が、子どもの減少対策と地域の活性化のために、特に都市部の子どもを小学校・中学校に受入れる制度です。
 山村留学を実施している小学校・中学校の全部が不登校生を受入れているのではありません。子どもの状態、受入体制、受入人数によっては不登校の子どもも受入れ可能な状態です。
 山村留学とは認められていないけれども、農山村漁村地域にある小学校・中学校で、宿泊施設を設けているところは、実質的には山村留学に近いものもあります。
 高校の場合、積極的に不登校生や高校中退者を受入れている全日制高校が、農山村地域や地方の小都市にあります。地域活性化の取り組みとも結びついていて山村留学の高校版の様相を示しています。

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●養護学校  :不登校の子が入学できる学校も各地に生まれている   ↑このページの先頭へ

 心身障害者のための教育機関が養護学校です。一部は戦前からありましたが、修学義務猶予免除者とされていた心身障害者に義務教育を保障するため、1979年に全国に養護学校の設置が義務づけられました。
 肢体不自由、知的障害、病虚弱の三種類の養護学校があり、不登校の子どもが入学しているのは、病虚弱養護学校です。法制上、養護学校は学校教育法上の学校で、小学部は小学校、中学部は中学校、高等部は高校と同じになります。
 入学条件は、アレルギー、喘息、肥満、虚弱体質などある程度の身体症状のあることが要件とされています。しかし不登校の子を持つ親たちの強い要望で、不登校である子どもたちの入学を認める養護学校が各地に生まれています。
 東京都下の区立健康学園も、この養護学校と似た状態にあり、不登校の小学生、中学生を受け入れているところがあります。
 受け入れ側である教職員の間では、養護学校、健康学園ともに、不登校への対応を向上させる努力をしています。

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●児童福祉施設   ↑このページの先頭へ

 児童福祉法により、小学生・中学生の施設入所をしている機関では、子どもの教育にも対処しています。近くの小学校・中学校に施設から通学する方法と施設内で学習指導する方法の2通りがあります。
 そのような施設入所型の児童福祉施設には、情緒障害児短期治療施設、養護施設および虚弱児施設があります。これらの児童福祉には不登校傾向や対人関係不安の子どもが相当に高い割合で入っています。

情緒障害児短期治療施設
 おおむね12歳未満の子どもを、「情緒障害を治すことを目的」として受入れる施設です。
 対象となるのは、登校拒否、緘黙、多動、集団不適応、内気小心など「非社会的な」子どもです。神経性的習慣(偏食、拒食、チック、夜尿、どもり)や反社会的な行動(盗み、怠学……)なども対象になります。施設内に分校・分教室を設けて、教師が派遣される所と、校区内の学校へ通学させる形で、子どもの学習面に対応する所とがあります。
 治療スタッフは、医師、セラピスト(心理治療者)、児童指導員、保育師などです。施設の子どもの定員は50名以下。

■養護施設
 養護施設は、父母の離婚などにより保護者がいなかったり、虐待など保護者の養育上の問題がある子どもを受け入れている児童福祉法上の組織です。
 一部の養護施設においては、不登校の子どもを受け入れ、児童指導員、保育師、心理職および嘱託医(精神科)が対応しています。厚生省児童家庭局長通知「養護施設における不登校児童の指導強化について」(1991年4月)による入所対象施設は全国に30か所以上あります。

■虚弱児施設
 児童福祉施設の一つで、身体虚弱で保護者がいなかったり、保護者のもとでは健康増進が難しい子どもの受け入れ施設です。
 一般に登校拒否の子どもの受け入れ施設としてつくられているわけではありませんが、神経質な性格などの理由で、いくつかの虚弱児施設に不登校の子どもが入っています。

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●全日制高校  :一部に、不登校や中退者を積極的に受け入れる高校も   ↑このページの先頭へ

 高校には、全日制、定時制通信制の三種類があります。いずれの高校を卒業しても高校卒業である点にかわりはありません。
 高校の種類分けの方法はほかに、1.普通科、専門科(職業制)、総合学科という分け方、2.学年制、単位制という分け方、3.私立高校と公立高校(国立、都道府県立、市町村立)、4.共学校、男子校、女子校という分け方もあります。寮のある高校では寮制(全寮制)高校という言い方もあります。これらの分け方がいくつか組み合わさって高校の性格づけがされます。
 それぞれの分け方の一番多いものを集めると、全日制・普通科・学年制・共学校になります。
 全日制高校の場合、年間の履修単位は30〜33(1単位は一週一時限の授業時間の年間履修)です。高校卒業に必要な単位数は、必修科目を含めて74単位です。三年制全日制高校ですべての単位を修得すると、高校卒業に必要な単位をはるかに超えてしまいます。
 ほとんどの公立高校と多数の私立高校が、不登校生や高校中退者の受け入れに積極的であるとはいえません。形式上入学試験を受けられないことはありませんが、入学試験や内申確認で入学を認められなかったり、入学しても相談等のほかの対応がないので、生徒は退学しやすい状態です。
 しかし、1学年や2学年を修了して退学した場合、全日制は年間修得単位が多いので、別の高校に再入学や編入になったとき、卒業に必要な残り単位数が少なくなります。
 主に、私立の全日制高校の一部が、不登校生や高校中退者を積極的に受入れています。「スクールガイド」ウェブページに載っている全日制高校は、これにあたります。

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●定時制高校  :生徒の卒業を支援するための試みもいろいろ   ↑このページの先頭へ

 四年制で高校卒業に必要な単位を修得できる学校です。主に夜間に授業が行われます。ほとんどが公立高校で、わずかですが私立高校もあります。全国に約900校あります。
 子ども数が減少する中で一学級の生徒数は全日制以上に減少し、10人未満の学級も多くあります。事実上、小人数学級が多数をしめています。生徒の年齢も幅が広く、二十代の人も珍しくはありません(学校差あり)。
 不登校生や高校中退者の受け入れはかなり進んでいます。不登校生や高校中退者の割合が全生徒数の2割から5割をしめる学校もあります。全生徒数が少ないことと重なり、教師は一人ひとりの学力や生活条件に合った対応ができます。その意味で不登校生や高校中退者には受け入れられやすい、学びやすい教育機関です。
 しかし、仕事をもつ生徒や、家族環境の面から学業を続けるのが困難な生徒も多数います。全体の退学率は全日制高校よりも高いです。
 特に十代の生徒には、働いていない(定職がない)、パート労働的なアルバイトをしている人の割合が多いようです。
 それらの生徒が卒業に近づきやすい試みや制度がいろいろ工夫されています。1.通信制高校との併修、2.高校卒業資格認定試験の科目合格を修得単位に認める、3.始業時間を早めて、一時間目に選択科目的な授業をし、年間の修得単位を多くする。これらの工夫によって、三年間の修業期間で卒業できる(三修制という)定時制高校が増えています。
 分校型の小規模校や交替勤務の生徒を対象に、昼間定時制高校も一部にあります。東京都立の昼間定時制高校はチャレンジスクールといいます。全国各地で昼間定時制高校ができているのは不登校やひきこもりの人への対応策と考えられます。何らかの理由で都市域に昼間定時制高校が設立されると、不登校生、高校中退者が集中する傾向がみられます。

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●通信制高校  :レポート提出と数日の通学と試験で高校卒業の資格   ↑このページの先頭へ

 通信教育による高校です。教育は三つの方法で行われます。1.教科書や参考書に基づいてレポートを書き、学校に提示するレポート学習、2.年間14日〜30日ぐらい通学し(スクーリング)、対面授業を受ける、3.通学し試験を受ける。この三つの学習方法をいずれも欠かさずやりとげることで、必修科目を含め、74単位以上を修得すれば高校卒業になります。
 通信制高校は、不登校生や高校中退者の最大の高校教育の受け入れ教育機関となっています。修学期間は、公立通信制を中心に四年制ですが、高校卒業資格認定など別の方法で単位修得できる方法や、年間に修得できる単位数を増やして、三年間で74単位を修得できる通信制高校が増えています。私立通信制高校は全て三年制を掲げています。
 生徒は自学自習で学習を進めますから、計画性やそれを支える日常生活、強い意志が求められます。家庭教師を頼んだり、学習塾を利用するなどのサポートがないと、この自学自習が続けられなくなる生徒もいます。
 しかしそれで留年や退学になることはなく修学年間に関わりなく修得単位を積み重ね、必修科目を含めて74単位になれば卒業できます。二年間かけて一つの教科の単位修得を認めている通信制高校もあります。出席日数が少ない、学年制をとっていても修得単位を積み重ねていけば卒業できるなどの点で、不登校生、高校中退者に利用しやすい高校になっています。
 また、自学自習だけでは不十分な生徒に対して、近年、通信制高校サポート校が生まれ、通信制高校生の卒業率を高めています(通信制高校サポート校の項目を参照)。

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●通信制サポート校とサテライト教室  :通信制高校生の支援形態はさまざま ↑このページの先頭へ

 通信制高校のサポート校です。通信制高校に在籍する生徒を多数(集団的に)受け入れ、行事やクラブ活動など多彩な取り組みで高校生活を楽しく、活発にし、生徒間の人間関係を育て、通信制高校生の卒業率を飛躍的に高める役割をしています。生徒は通信制高校とサポート校の両方に学籍をおきます。学校生活の中心をサポート校におきながら、通信制高校を卒業するのに必要な単位修得をしていきます。
 サポート校が生まれたのは1980年代末以降のことですが、現在は全国で百校以上に達しています。大都市地域から地方都市の一部でも設立しています。これら多数になったサポート校は、それぞれ個別の特色をもっていますが、制度面からはいくつかに分類することができます。
 まず全体を大きく2つに分けることができます。1.連携校・提携校と2.補習校です。

1.連携校・提携校であるサポート校
 特定の私立通信制高校との間で連携(提携)関係があり、教育活動(レポート作成、スクーリング、テストなど)を協議しながら円滑にすすめていきます。
 生徒は、サポート校で中心的な高校生活をおくりますが、必要なスクーリングやテストなどの機会には通信制高校に通学します。サポート校の教師が同行することもあります。しかし、高校への通学(スクーリング)がないところもあります。それは次の場合です。
 ア)サポート校の連携する通信制高校が広域通信制で遠方にある場合
 生徒が実際に通信制高校に行くのに制約がある場合です。このような連携校においては、面接授業を受けたり、試験を受ける学校自体がサポート校になります。修学旅行の日程に通信制高校訪問を組み込むなどの形はありますが、基本的には全高校生活はサポート校で行ないます。
 イ)通信制高校のサポート校が技能教育施設になっている場合
 (技能連携校の項目を参照)。

2.補習校であるサポート校
 通信制高校とは特別の取り決めもなく、その通信制高校に在籍する生徒のためのサポート校です。通信制高校側では、そのサポート校に在籍している生徒とそれ以外の通信制高校生と何ら変わることなく対応します。レポート提出や通学、試験など生徒はサポート校の支援を受けながら日常的に学習を重ね、通信制高校を卒業できるように努力していきます。
 この場合でも、通信制高校の担当者とサポート校側で、ある程度の情報交換は行なっていることもあります。
 サポート校の中には、複数の通信制高校生を受入れているところがあります。「通信制A高校」とは連携しているけれども、「通信制B高校」とは連携していない補習校型である、ということもあります。公立の通信制高校はサポート校と公式に連携していないことが多いので、自学自習では不足を感じる公立通信制高校生が、サポート校に通学するときに生まれやすいケースといえます。
 サポート校は新しいタイプの教育機関であり、法制的には認可外の教育施設です。公式な財政支援もほとんどなく、生徒(親)の学費負担が高くなります。サポート校設置者の間では、この状態を改善するために行政部門、交通部門(通学定期の利用)などへ働きかけもしています。

3.サテライト教室
 通信制サポート校の小規模なものと考えられます。広域制(2つ以上の県に生徒がいる)の通信制高校で、東京や大阪など大都市域も学区になり、そこに在籍生がいるときの教育施設です。ある程度生徒が多くなるとサポート校となりますが、比較的人数が少なくても可能なのがこのサテライト教室です。
 地域の学習塾やフリースクールでその生徒が通信制高校に入学するというときに対応しやすい形といえるでしょう。サテライト教室の多くは学習塾や各種教室であることが多いようです。通信制高校とは業務提携的な関係をつくって教育活動を進めます。
 サテライト教室とサポート校の本質的な違いはありません。教室は通信制高校のものではなく、通信制高校の教員が日常の教育活動をするわけではありません。サポート校、サテライト教室のそれぞれの教室が、それぞれの教室において教育活動をするという点では同じです。

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●学習センター・協力校   ↑このページの先頭へ

 通信制高校は年間数日のスクーリング(登校)が必要です。また可能な生徒には登校し、教員に質問するなどの教育活動もできればよりよいこともあります。とくに広域制(2つ以上の県に生徒がいる)では、本校が遠くて、登校をひんぱんに行うのが困難です。そのために通信制高校の本校とは別に、いくつかの形で分校的な対応をしています。

■学習センター
 学習センターは、通信制高校自体の一部です。本校の教員が、本校とは別の教育施設(校舎)で授業その他の教育活動を行う場、それが学習センターです。

■協力校
 公立の通信制高校は少なくとも1県に1校以上あります。しかし、通学上の便利を図るため、同一県内の別の高校を教室として、公立通信制高校の教員が教育活動を行います。この教育施設が協力校です。多くは全日制高校が当てられていますので、協力校として使用されるのは全日制高校が休みとなる日曜日になります。
 私立の通信制高校(とくに広域通信制高校の場合)は、生徒の行きやすい地域に教育の場をつくって生徒に対応する必要があります。そこで、たとえば専門学校や各種教室の空き教室を常時借り請けて「協力校」とすることがあります。通信制高校の教員が教育活動を行います。サポート校との違いは、サポート校は通信制高校とは独自の運営体であり、教員はサポート校に属しています。「協力校」の場合は、教室は通信制高校の一部ではありませんが、通信制高校の教員が教育活動をします。

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●高等専修学校  :技術や資格を中心に学びながら、高卒同等を求める人向き   ↑このページの先頭へ

 専修学校とは、技術、技能とそれに関係する資格を取得することを目的とする、学校教育法で決められた教育機関です。中学校卒業生以上を入学対象とする高等課程、高校卒業生以上を入学対象とする専門課程、学歴に関係のない一般課程の三つの課程があります。
 高等課程を高等専修学校、専門課程を専門学校といいます(法律上、専修学校専門課程がない学校を専門学校ということはできません)。
 高等専修学校は、中学校卒業以上の人が入学できる学校で、不登校生や高校中退者も学校によっては大きな割合で入学しています。
 修学期間は、一年以上であり、一年制の調理学校には、高校卒業生がかなり入学しているところもあります。二年制の高等専修学校の代表は准看護師養成学校でしょう。
 高等専修学校には三年制(以上)の学校もあります。その場合、設備や教師、教育内容がある基準を超えると、高校卒業同等と認められる大学入学資格指定校となります。卒業生は、専門学校や大学受験はもとより、高校卒業を条件とする各種の資格試験を受けることができます。
 また高等専修学校の中には、通信制高校の技能連携施設になっているところもあります。その場合、三年制であれば、卒業と同時に高校卒業資格を取得できます(技能連携校の項目を参照)。
 高等専修学校と高校は、別種の教育機関です。しかし高校中退者や高校在籍者が高等専修学校に入学する際は、高校在籍中の単位修得や成績を高等専修学校での学修と認める制度が広がっています。しかし単位修得を認められても、実習中心の専門科目の場合は高等専修学校一年の課程から始めなくてはならないものもあります。
 なお、高等専修学校から高校への転編入学の場合には、高校側でこのような単位認定制度をとっているところはありません。

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●技能連携校  :学校教育法で決められた教育機関   ↑このページの先頭へ

 技能連携校は、学校教育法で決められた教育機関の一つです。定時制高校通信制高校の教科教育の一部を分担して実施します。実際には、通信制高校との連携校が不登校生の受け入れ校になっています。技能教育施設として認定されているのは、高等専修学校、各種学校、職業訓練施設、企業内研修機関(学園教育制度)です。この仕組みを技能連携制度といい、技能教育施設は技能連携校といわれます。定時制・通信制高校の教科の一部を実施しない場合は、技能教育施設には認定されません。
 通信制高校の技能連携施設になっている三年制の高等専修学校の場合、卒業生は高等専修学校とともに、通信制高校も卒業することになります。
 しかし、一年制や二年制の技能教育施設である職業訓練施設(長期訓練普通課程)や准看護師学校の場合は、訓練施設を修了したり、学校を卒業しても高校を卒業したことにはなりません。高校卒業に必要な単位を修得するためひきつづき通信制高校などで学ぶことが求められます。それでも一年ないし二年の高校在籍による単位修得は認められます。その修得単位を生かしてほかの高校に編入したり、高校卒業資格認定試験合格をめざすこともできます。
 技能教育施設の中で、高等専修学校とともに、不登校生や高校中退者を積極的に受け入れている教育機関があります。これが通信制高校サポート校に似ている技能連携校です。
 サポート校の中で認可を受けているタイプの連携校ということもできます。教育機関の設置者が、通信制サポート校ではなく技能連携校を選ぶのは、この認可(都道府県教育委員会の認可)があるからです。
 このサポート校タイプの技能教育施設では、生徒は教科学習を含めて、技能連携校以外に通信制高校に通学することは基本的にはありません。技能連携校における学習・生活・技術修得がすべて連携する通信制高校での学習と認められ、通信制高校の評価(単位認定)をされ、通信制高校も卒業になるのです。

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●フリースクールと学習塾  :活動内容はいろいろ 根気よく自分にあった場を選びたい↑このページの先頭へ

 教科学習、受験指導、知育偏重になっている学校では、教師のペースで教科書を消化しやすい条件が強まり、子どもを競争世界に巻き込んでいます。それに代わり、子どもの生活感や子どもの時間サイクルに根ざした教育機関がフリースクールです。元来は欧米の教育運動でしたが、不登校の子どもの受け入れ機関として日本でも急速に増えてきました。フリースクールが不登校のための教育機関の様相を示しているのが日本の特色です。
 欧米では、フリースクールは認可された小学校・中学校ですが、日本では認可外の教育機関であり、法制的には学習塾と同じです。学習塾は数も多く、内容も多彩であり、社会に広く定着しています。子どもを学習の中心と考える学習塾の中に、不登校の子どもを受入れる、不登校の子どもが通いやすい学習塾が生まれています。
 フリースクールと不登校生を受け入れる学習塾の活動内容は、それぞれ独自の内容があり一律ではありません。一般に教科学習とともに、体験学習や教育行事、運動、ゲームなど子ども同士が向き合う形での取り組みを多くしています。親の教育相談にも対応しています。しかし学習指導をしていないフリースクールもあります。
 文部科学省・教育委員会は、一定の基準を設けてフリースクールや学習塾に通う子どもの出席や成績を認めています。フリースクールや学習塾からの報告に基づき、小学校・中学校の出席扱いとしたり、成績評価をし始めたのです。いわば認可に近いフリースクールや学習塾が生まれています。
 しかし、フリースクールや学習塾に子どもが通えても、子どもの在籍する小学校・中学校でそれを認められないことがむしろそれ以上に多いです。子どもにとって必要なことは、そのフリースクールや学習塾が、その環境でなら学ぶことができる、友達との人間関係ができることです。出席や成績を認められるかどうかは二次的な意味になるでしょう。
 制度面でのこのフリースクールと学習塾をめぐる不均衡は、教育行政の課題になっています。

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●高卒認定資格(旧大検)と高卒認定予備校  :高卒ではなくても大学を受験できる↑このページの先頭へ 

 高校卒業でない人が、大学入学資格(大学入試を受験する資格)を取得するため、文部科学省が実施する「高校卒業と同等以上である」ことを検定する試験が高認=高校卒業資格認定試験です。
 この以前の大検試験は年二回実施され、中学校を卒業した人(15歳以上)は受験することができます。この高卒認定資格に合格するよう援助するのが高卒認定予備校です。高卒認定予備校に所定の修学期間も、一般にいう卒業もないのは、この資格試験の合否が基準になるからです。
 高卒認定資格は、必修科目と選択科目の合計7科目の合格が必要です。
 これらの高卒認定科目は、いろいろな代替が認められています。
 選択科目になっている英語では、英検2級以上などの合格者は科目免除(科目合格)となります。同じく選択科目の簿記では、日商簿記検定3級以上などが科目免除になります。
 もう一つの代替方法は、高校(全日制高校定時制高校通信制高校の在籍・退学者)での修得科目、高等専門学校での修得科目、および高等専修学校で修得した該当科目がある単位以上あれば、高卒認定の科目免除(科目合格)になることです。
 高校(全日制、定時制、通信制)、高等専修学校に在籍する現役生は、同時に高認を受験できます。在籍する高校や高等専修学校での修得科目は、高認の科目免除になります。
 さらに高認合格発表後、高校と高等専修学校で、修得科目が高認合格に必要なほかの科目を満たせば、その時点(三月)で高認合格となります。
 また、高認合格に必要な科目は、一年単位ではなく、毎年累積する方法で加算していくことができます。

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●在外教育施設  :留学に近いけれど、日本式の授業が行われる   ↑このページの先頭へ

 外国に設置された、日本の教育制度に基づく学校です。代表的なものは、海外の日本人居住者のための日本人学校です。また日本人学校以外にも、海外に現地法人を設立し、そこが主体となって日本の教育制度に基づく学校を設立していることもあります。留学と似たところもありますが、学校では日本の教科書・参考書を使い、主に日本から派遣された日本人教師が日本式の授業を行ないます。
 小学部は小学校、中学部は中学校、高等部は高校と同じです。
 このような在外教育施設の数は少ないですが、高等部を中心に積極的に不登校生や高校中退者を受入れている学校があります。生徒は日本の家族から離れ、単身で外国にあるこの在外教育施設で学んでいます。

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●留学と外国の高校の日本校  :海外でがんばる不登校生・中退者が年々増加している↑このページの先頭へ

■海外留学
 高校卒業と同等以上と認められる資格(大学入学試験を受験できる)に、外国の高校(同等程度の教育機関)の卒業・修了があります。
 不登校生、高校中退者の中には、積極的に外国の高校を卒業・修了しようとする人が年々増加しているように思います。これは、日本とは異なる教育条件・生活環境であれば高校教育を受けられる気持ちがあるためと考えられます。これが不登校生・高校中退者に広がる高校留学です。
 留学先は、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏が中心です。ドイツやフランスなどの高校教育機関に留学する人もいます。
 これらの高校留学をすすめる留学サポート機関があります。高校留学は留学生の年齢が低く、特に家族と離れて単身外国に出かけることになるので、サポート機関の役割は重大です。サポートが不十分の場合は、生徒の困難に対応できないこともあります。

外国の学校の日本校
 外国の高校教育制度を活用する別の方法として、外国の高校の日本校があります。在外教育施設の反対に位置する仕組みです。アメリカなど外国の高校の日本校をつくり、その国の教育制度に基づく高校教育を実施します。
 生徒はその日本校に通学(寮制度のところもあります)して学びます。一年間程度、外国にある本校に通学(留学)する方式をとっているところが多いようです。
 高校卒業は、その国の高校卒業・修了資格です。日本においては高校卒業と同等以上と認められます。外国の高校の日本校は数校あり、不登校生、高校中退者の進路として積極的に受け入れをしています。

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●家庭教師   ↑このページの先頭へ

 個人または組織として家庭教師をしている人のなかに、不登校の子どもや引きこもりの人を対象としている人もいます。学習指導だけでなく、子どもと一緒にゲームを楽しんだり、外出したり、ときには親の相談にのっている人もいます。
 通信制高校に在籍する人、ウェブスクール(インターネット教育)など個人学習をする人で、何らかの学習援助を求める人には、家庭教師を利用する方法も考えられます。
 家庭訪問を、学習中心ではなく、対人関係づくりなどコミュニケーションを図ることを中心に利用する人もいます。不登校情報センターの訪問サポート部(トカネット)は、この部分への対応です。

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●通信制大学・特修生制度・放送大学   ↑このページの先頭へ

 大学、短期大学、専門学校(専修学校専門課程)に進学する不登校体験の学生数は増大しています。不登校の中学生や高校に進学をしていない生徒でも、大学には進学したいというのは普通の感覚と思えます。
 大学生になっている人の中には、高卒認定試験(まえの大検)合格から大学受験を経て入学している人は確実にふえています。
 専門学校の一部には積極的に不登校体験者を受け入れている学校もあります。わずかですが20歳以上の高校卒業生で社会に入れないでいる人を技術・資格、対人関係の力をつける目的のコースや課程を設ける動きもあります。
 しかし大学、短期大学、専門学校の多くは不登校の体験者を特別に受け入れる、または受け入れないとはしていません。実習・実技の多い学部・学科・専門学校には、高校までと同様にほぼ毎日の登校を必要とするところもあります。よくもわるくも学生に委ねられています。

■通信制大学と特修生制度
 注目すべきは特修生制度です。これは通信制大学・放送大学・短期大学が設けている制度で、18歳以上で学校が高卒程度の学力があると判断すれば、高校卒業や高卒認定資格などがなくても入学できます。
 特修生から一般の学生(正科生という)に移れるかどうかは、それぞれの学校の制度・仕組みによります。移れる場合は、在学中に高卒認定試験に合格する、一定の科目を履修し単位を取るなどが条件になっています。
 また入学条件や単位取得もそれぞれの学校ごとに少しずつ違います。
 通信制大学の卒業率は、他の大学卒業による単位加算生を除くとかなり低いと言われています。学習意欲と学習環境を維持すること、レポート作成が停滞しないくふうが大事です。通信制大学生を対象にするサポート校もいくつかできています。

■放送大学
 通信制大学と少し違った形が放送大学です。テレビ・ラジオ・ビデオにより講義を受け、自学自習です。スクーリング(面接授業)のために、学習センターも設けられています。
 全科履修生は4年以上在籍し、124単位を修得すると卒業になります。
 高校中退のまま入学できる選科履修生・科目履修生の制度もあります。一定の条件を満たせば選科履修生・科目履修生から正科に移ることもでき、卒業すれば大学卒業になります。

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